きみくじ当てます


「ひっく、うう」


河野さんが剣を床に落とし、自分も床に座り込んで泣き始めてしまった。


「河野さん?」


心配になって駆け寄ろうとすると、九条くんに止められた。

目が、近寄るなと言ってる。


「………」


なす術もなく立っていると、しゃくりあげる河野さんの背中を九条くんがさすっていて

視界の隅で山崎さんが久賀くんになにやら耳打ちするのが見えた。


久賀くんは嫌そうな顔で山崎さんに文句を言ったみたいだけど、山崎さんに足を踏まれて渋々頷いていた。



…なにやってるんだろう?


なんて思っていると、久賀くんがわたしたちのほうに人の輪をすり抜けてやってきた。



そして。



「姫の呪いは解けました。あなたのおかげです、蜜柑の妖精」



……え?



久賀くんが跪いて意味のわからないことを言った。


「………」


九条くんも河野さんも、え?って感じで久賀くんを見ている。


「あの、久賀くんどうしたの?」


久賀くんはめんどくさそうにわたしをちょいちょいと手招きした。


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