きみくじ当てます


【遼平】



え?



ぱちくり、と河野を見ると、河野は口を引き結んで俺を睨みつけてきた。


「え、まじ?」


「まー、俺はわかってたけどね」


真宏が両手を頭の後ろにやりながらほざいた。


「なんでだよ」


「だって遼平を餌に引っ掛けようとしても、全然俺に靡かなかったし」


「………」


あ、そう。


「無視しないでよバカ!」


「そうよ!久賀のバカ!」


山崎は黙ってろや。


でも、まあ、ここは


河野のほうに体を向けると、河野はぴくりと眉を動かした。


「あー、えっと。ごめん。俺、そういうの鈍くて。全然……」


頭を掻きながら河野に謝ると、河野はふいとそっぽを向いた。


「…もういい」


そして、自嘲ぎみに笑って、床に視線を落とした。


何か悪いことをした気分だ。



河野は俺を好きになってくれた、

だけど俺は河野を好きになってやれない。



だって俺は……


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