きみくじ当てます
「俺さ、初めてだったんだ、こういうの。」
珍しく真面目な顔をした久賀くんが、口を開いた。
「もう知ってると思うけど、俺、アタリ運が良くて。今までハズレなしの人生だったのに、そこに柊が現れたんだ。」
「……」
「ほら、キャラメルくれただろ?自販機のところでさ。」
「わたしが手のひらに握って隠して、久賀くんははずしちゃったんだよね。」
「あれは、本当に驚いた。人生初。柊が細工したんじゃないかと疑ったくらいな。違ったけどな。」
久賀くんはおかしそうに笑ってから、また表情をもとに戻した。
「それから、柊と直接関わることは思うようにいかなくなった。他のやつといるときはいつも通りだけど、柊のときだけ……。一緒にいれば何か理由がわかるかとも思ったけど、結局わからずじまいだ」