きみくじ当てます


「俺さ、初めてだったんだ、こういうの。」


珍しく真面目な顔をした久賀くんが、口を開いた。


「もう知ってると思うけど、俺、アタリ運が良くて。今までハズレなしの人生だったのに、そこに柊が現れたんだ。」


「……」


「ほら、キャラメルくれただろ?自販機のところでさ。」


「わたしが手のひらに握って隠して、久賀くんははずしちゃったんだよね。」


「あれは、本当に驚いた。人生初。柊が細工したんじゃないかと疑ったくらいな。違ったけどな。」


久賀くんはおかしそうに笑ってから、また表情をもとに戻した。


「それから、柊と直接関わることは思うようにいかなくなった。他のやつといるときはいつも通りだけど、柊のときだけ……。一緒にいれば何か理由がわかるかとも思ったけど、結局わからずじまいだ」


< 137 / 148 >

この作品をシェア

pagetop