きみくじ当てます
俺がそう言うと、オッサンは何を言ってるんだと目の前の台を叩いた。
「俺はくじ屋だぜ。くじを引かせる客引きをしてただけだ」
「ほぉー」
その客の女子高生をいやらしい目で見てたのはどこのどいつだ。
そう思いつつ、台に目をやると、そこには箱の中に手を突っ込んで紙を引くタイプのくじが用意されていた。
「今日はガラポンじゃないんだな」
「あれは福引き用だ。今日はただのしがないくじ屋。ささ、おにぃさん、どうだい一回?500円だ」
嬉々として箱を差し出されて、俺は眉を顰めた。
「気持ちわりーな、ぼうずじゃねぇのかよ」
「なんてったって彼女の前だからねぇ。ほら、カッコイいとこみせるチャンスだ」
彼女じゃないんだけどさ。
オッサンにそう説明したところで、ますます面倒になりそうだからそこはスルーして柊を振り返る。
「ほら、柊。どれがいい?」