きみくじ当てます


「え?」


俺に聞かれて、柊は目をまるくしてからくすっと笑った。


「そんな、射的じゃないんだから」


「そうだぞぼうず、この前みたいに人生うまくいかねーぞ」


箱を持ったままケラケラ笑うオッサンはほうっておいて。

しかもぼうずに戻っている。


「いいからいいから。なんか目標あったほうがやる気でるだろ」


言いながら、オッサンにとりあえず500円玉を押しつけた。

柊はそっか、と素直に頷いてオッサンの後ろに並ぶぬいぐるみやら時計やらの景品を見渡す。


「……じゃあ、えーとね、あれがいい」


そう言って柊が指さしたのは、ペンケースくらいの大きさのポーチだった。

クリアケースで、オレンジのドット柄のシンプルなものだ。


「ちょい、柊」


「ん?」


俺は信じられなくて耳を疑った。


「あれ、だよな?その隣のティーセットとかじゃなくて、あの…ポーチ?」


「うん。あのポーチ」


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