きみくじ当てます
にっこりとして頷く柊に、がくっと肩の力が抜けた。
それはくじ屋のオッサンも同じだったようで、こちらはキョトンとしている。
確かに……あれは景品の中でもハズレのようなもので、500円の価値もないだろう。
こういうのは、モトをとるために高めのを狙うのに……
仕方ない、俺は今回あれを目指すぜ。
「任せろ柊、お安いご用だ」
ザ・オレンジドットポーチ!
オッサンが手にしている箱にボスッと手を突っ込んで、適当に引き抜けば完了。
柊が見守る中、ペリリと紙をめくれば、出てきた数字は
32番。
「わ……」
柊が驚きの声をあげた。
もちろん、ポーチの番号は32番。
「どうでぃ」
ふふんとオッサンを見てやると、奴は前回同様パカッと口を開けて番号を見つめたあと、慌ててポーチを柊に渡した。