きみくじ当てます
柊はオッサンが近寄ってくるのも気にせず、ペリリと紙をめくった。
「あ、33番。33番って?」
めくった紙をオッサンに見せると、オッサンはにこりとして33番の景品を柊に渡した。
……それって
「おめでとうさん」
またポーチじゃねぇか!
ただし今度はドットではなく黒いボーダーの。
「あらら」
柊はおかしそうに笑って、右手にオレンジドット、左手に黒ボーダーを持って俺に体を向けた。
「ポーチ2つになっちゃった。こっちあげるね、男の子だから」
そう言って左手のポーチを俺に差し出した。
「あ、……さんきゅ」
ちょっと頭を下げてポーチを受け取ると、オッサンがウザイ口笛を吹いた。
「いいねぇ、青春だねぇ」
黙って見守れねーのかあんたは!
オッサンの脛を蹴ってやろうとしたが、柊がポーチを持ってにっこりと笑顔を向けた。
「ありがとう久賀くん。明日から学校持ってくね!」
「お…おう」
隣でまたもやオッサンがにやついていたけど、柊の笑顔に免じて見逃してやった。