きみくじ当てます
って、おいアレは……。
3階の廊下の窓から、あんパン片手に双眼鏡で俺達を見下ろしているどっからどう見ても怪しい男。
真宏……
完全に見張り体勢に入ってやがる。
そんなに俺が信用できないのかよ!
「ごめん柊……、ちょっと待ってて」
「へ?」
言いつつベンチから立ち上がると、ようやく笑い終えた柊が、人差し指で涙を拭いながら首を傾げた。
「どこ行くの?」
「ストーカーを殴り飛ばしに」
目をぱちぱちさせている柊に背中を向けて、校舎の中にダッシュした。
一目散に3階まで駆け上がると、気まずそう……なそぶりも見せずに双眼鏡越しに俺を見てくる真宏がいた。
脇を通り過ぎていく生徒たちがひそひそ言っているのも気にせず、ついでにそのままあんパンをかじってみせている。