きみくじ当てます
みかんの妖精


【遼平】


なんでこんなことになったのか~。


隣で台本(俺のより厚い)とにらめっこしている柊に、はぁとため息をついた。


柊が劇に参加するようになったおかげで俺はまだまだ出番もないのに練習につきあわなくてはならなくなった。


「魔法使い様…、お姫様を助け出すためには……」


「あれ?妖精役の子、決まったの?」


柊がぶつぶつと口に出した台詞を聞いて、わりと近くにいた河野梨花が振り向いた。


「ああ。山崎のバカ(と真宏のバカ)が隣のクラスから引き抜きで」


「柊優那です。足引っ張らないように頑張るね」


ぺこんと頭を下げる柊を見て、河野は納得したように頷いている。


「山っちがかなりこだわってたみたいだから、妖精役はなかなか決まらないかなーって思ってたんだけど。なるほど柊さんはイメージにぴったりね」


そう言って河野が笑いかけると、柊は河野に見とれたのか動かなくなってしまった。


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