きみくじ当てます
次の日、俺は山崎から預かったぼろぼろの財布をポケットに駅へ向かった。
「あら遼平、学校?」
「学校に行く格好に見えるんですかオバサン」
「あんたが休みの日に出かけるなんて珍しいわね~」
玄関でスニーカーの靴ひもを結びなおしていると、不審がった母親が声をかけてきた。
「そんなに出かけてなかったっけ」
「いっつもぐぅたらしてるじゃないの、手伝いもしないで。何?彼女でもできた?」
うぜえぇ~
そのニヤニヤ顔引っ張ってやりて~
「真宏だよ真宏。あいつが彼女だったら俺はオシマイだ」
「あら、お母さんは真宏くん息子に欲しいわ」
「サムイこと言うな!もうあっち行けよ」
紐を結び直して立ち上がり、しっしっと手を動かすと、母親はしぶしぶリビングへ向かいだした。
かと思えば途中で振り向いて
「お財布落とすんじゃないわよ」
「わかってるって」
小学生じゃねーし。
母親から解放され、ようやく俺は家を出た。