きみくじ当てます


口を開いたところで、教室の後ろの戸のほうから音が聞こえた。


俺と真宏は音につられてそちらに顔を向けたが、誰もいない。


「? 今、誰かいたような気がしたんだけどな」


真宏は黙って戸のほうを見つめていたが、やがて立ち上がった。


「遼平、この話はまた今度だ。くれぐれも柊ちゃんのことは気をつけなよ」


そう言い残して、真宏は後ろの戸から出ていった。


教室を出て行く真宏の背中を見送り、残された俺は不満に眉を寄せる。


「気をつけろって?柊を疫病神みたいに言ってんじゃねーよ」


そう文句を言って、空になったジュースのパックをゴミ箱に放り投げ、自分も教室をあとにした。




このとき俺はひとつ、勘違いをしていた。


この小さな勘違いのせいでひどい後悔をするようなことになるなんて、俺は微塵も思っていなかった……




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