きみくじ当てます
今一瞬、俺の名前忘れかけてたな。
まぁいいけど。
そよそよと春の風が吹く。
適度な日差しが気持ちいい。
あ、たんぽぽみっけ。
「じゃあ、わたしそろそろ行こうかな」
柊が立ち上がった。
「乗っけていこうか」
「いいよ、ありがとう」
柊は手を振り、歩き出した。
「またね、久賀くん」
気怠げに手を振り返してやると、おかしそうに笑われた。
これが、俺と柊の最初の出会い。
なんてことない、春の日の。