きみくじ当てます


「柊さん、ペンを返してもらいたかったみたいなんだけどね、もう久賀くんと話したくないんだって」


「………」


ガツン、と後頭部を殴られたような衝撃が走った。

それには気づいていないのだろう、河野は困ったように笑って続けた。


「だから私にかわりに返してもらってきてくれって頼んできたの」


「……そうか」


そりゃそうだ。


柊はなんで俺が柊に近づいたか知ってしまった。



話もしたくないと思うのは

当然だろうな……



「わかったよ」


ポーチの中からペンを取り出し、河野の手に押しつけた。


「もう近づくなって、そういうことだろ」


こんなことを人に頼むくらいなんだから。




河野は受け取ったペンを見てから、俺を見上げた。



「そういうことよ」



< 97 / 148 >

この作品をシェア

pagetop