Daddy Long ....


目の前に立つ女の人は、眉間に皺を寄せていた。

少し明るい茶色の髪は胸まであり、化粧は全くしていないようだったけどそれでも綺麗な人と思える整った顔立ちをしていた。

だけどその顔は怒っているような、焦っているような、どこか疲れたそんな表情をしていて、そのせいで父の姉という年相応の顔にも見える。

その人は私を一瞥すると何も言わずに家の中に上がりこんだ。

「あ、あのっ!勝手に入らないでください」

鍵はあけたけれど私は中に入ることを許したわけじゃない。
今まで存在すら知らなかった人をいきなり信用できるはずもなく、私は父の姉、私の叔母と自称するその人を疑っていた。

私の言葉を無視してどんどん家の奥に入っていくその人は、何かを探しているようだった。

「あの、警察呼びますよ!」

私がそう言うと女の人は立ち止まって振り返り、私を睨みつけた。

「そんなことしてみなさい、あんた後悔することになるかもよ」

どういうこと。
なんで私が後悔するっていうの?

この人、自分が警察呼ばれたくないからそういうこと言ってるんじゃないの?

私の返事は無視して女の人はなおも家の中を探索していた。

我慢ならなくなって私がその人の腕を掴んで止めたけど振り払われてしまった。

「私だってこんな面倒くさいことしたくないわよ!だいたいあんたら親子になんて本当だったら一生関わらないつもりだったのに」

「ど、どういうことですか」

私の問いは無視して、女の人は家の中を歩き回った。
散々歩いて父の部屋へ入ると、今度は勝手に部屋の中を物色し始めた。
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