Daddy Long ....
父のクローゼットを開けると、中に掛けられていたスーツや洋服を放り出し始めた。

「何してるんですか!?やめてください」

慌てて止めようとするけど、女の人は黙って次から次へと洋服を引っ張り出してきた。

帰ってきた父に見られたらどうなることか、それを想像して怖くなった。
また、また殴られちゃう。やだ、やだ!

必死に女の人に縋り付いたけれど、それでも女の人はやめようとしない。
すべての服を出し終えると、クローゼットから本棚、机の中を探し始めた。

もう止めるのを諦めて、私はただ立ち尽くして行為が終わるのを待った。
片付けを終えるのにいったいどれくらいの時間がかかるだろう。

そんなことを考えていた。

それから数十分、女の人は部屋の中を捜しまわった。
探しているものは見つからなかったのか、肩で息をしながら動きを止めた。

「はぁ、はぁ…。ねぇ、父親昨日帰ってきた?」

女の人は疲れた顔でこちらを向いて訪ねてきた。

「いえ、帰ってませんけど」

「じゃあ、今日は」

私が首を横に振ると、女の人は溜息をついて頭を抱えた。
しばらくそうしていたけど顔を上げると今度は私の腕を引いて父の部屋を出た。
突然のことに私が抵抗すると、さらに強い力で引かれる。

「や、やだ!何するんですか」

「あんたの部屋、どこ」

「え?」

今度は私の部屋を物色されるのか。

「やめてください!本当に警察呼びますからね」

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