Daddy Long ....
私は女の人を振り切ってリビングへ向かった。
急いで受話器を取り、番号を押す。

1、1、…

あとひとつ。

ゼロを押せば助けを求められたのに、私は突き飛ばされて床に転がった。
女の人はすぐさま受話器を置き、電話のコードを引き抜いた。

「早く部屋を教えなさい」

冷たい顔でそれだけ言うと女の人は倒れている私の腕を引っ張り、引きずったまま歩きだした。

「な、何が目的なのか教えてください。なんでこんなことするんですか」

抵抗する気はもうないけれど、何故こんなことをするのか知りたかった。
わけの分からないまま家を荒されて私はこのまま殺されるんじゃないか、そんな考えさえ浮かんできた。

女の人は一度私に目をくれると、しばらくそのまま黙ってようやくその重い口を開いた。

「あんたを私の家に連れていく」

一瞬何を言われたのか分からなかった。
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