Daddy Long ....
3.出逢い
しばらくして、父の名前が殺人犯として世の中に知れ渡った。
私はあれから美和子さんの家に住まわせてもらうことになったけれど、学校には通える範囲だったので転校はしなかった。
だけど、それは私の父を知る人間がたくさんいる場所へ行かなければならないということ。
私は殺人犯の娘となってしまったのだ。
テレビのニュースで連日流される事件の情報。子供が生まれたばかりの幸せな一家を襲った悲劇。残された遺族の怒りや父への批判、今まさに世間から注目されている事件なのだ。
罪を犯したのは父であっても、その娘である私を見る世間の目はまるで私が殺人犯だといっているように見える。
重い足を振りだしながらゆっくりと学校への道を歩く。
美和子さんは私が学校でどんなふうに見られているのか、全く興味がないようだった。私をあまり家に置いておきたくないのか、倒れでもしないかぎり学校へ行けと毎朝マンションを追い出された。
担任教師とも話し合って、学校に来るのは控えるか、転校したほうがいいと言われたが、美和子さんは面倒臭いの一言でそれを許してはくれなかった。
顔が上げられない。
前が見えない。
いつからか足元を見て歩くようになった。