Daddy Long ....
今日は日曜日。
学校は休み。
だから今日は家にいられる。
だけど家事の一切は私がやらなければならない。
朝ご飯から掃除と洗濯、買い物までやらなければならない。
自分の時間なんてなかった。
だけど、どうにか早く全ての家事を終わらせると私は解放された。
というよりやはり家に置いておきたくないのだろう、美和子さんは私をマンションから追い出した。
夕飯を作る時間まで帰ってくるなということらしい。
家を追い出されはしたが、あの家にいても私の居場所なんてない。
だったらこうやって追い出されたほうがまだ楽だ。
私はふとあの公園を思い出した。
いつも学校の帰りによってベンチに座っていると、日課のようにおじさんが現れて、決まって私の隣に座る。
おじさんが何の仕事をしているのか知らないけど、毎日よれよれのワイシャツとスラックスを履いていた。
無精ひげは相変わらずで、髪の毛もぼさぼさだけど、眼の下のクマは最近では少し良くなった。
お互いに何かを話すことはない。
ただ隣に座って時間を共有していた。
それだけでも私にとっては特別な時間だった。
自分の存在がいらないもののように扱われる生活の中で、おじさんだけは私を避けたりしない。
私がそばにいることを咎めたりしない。
だから、おじさんとのささやかな時間が、今の私にとっての救いだった。