Daddy Long ....


「・・・・・・・ん」
「おはよ」

少し肌寒さを感じて目を覚ますと、隣におじさんが座っていた。
眠い目をこすりながら夢なのか、はっきりしない頭で考える。

「こんなところで寝てると風邪ひくぞ」

おじさんはそう言って私の頭をくしゃくしゃとなでた。

どうやら夢ではないようだ。嬉しかった。おじさんに会えた。

ふと視線を下に向けると、自分の肩にスーツの上着がかかっていた。

「あ、おじさん…。これ」
「風邪ひくといけないだろう」

おじさんはそういってにっこり笑った。


とくん


なんだか胸があったかくなる。私のこと心配してくれてる。

嬉しい。

「うん、ありがとう」

人にありがとうなんていうの、久しぶりな気がする。

私がそういうとおじさんはまたにっこり笑った。

なんだかむずむずする。
いつもはお話はしないけど、今日は話したくて仕方がなかった。

「あ、あの。今日も公園に来たんだ」

何から話せばいいかわからなくて、とっさに思いついたことを聞くとおじさんは遠くを見たまま答えた。

「君もね」
「私は・・・・・・おじさんに会えると思ったから」

最後のほうは自分でも聞き取れないくらい小さい声になってしまった。

でもおじさんは聞き返すことはしなかったから、たぶん私の話にはあんまり興味がないのだと思う。
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