君が、あの夏だった。






バンッ




ドアを開けて廊下に出ると、奥の部屋から出てきた義母と鉢合わせる。




いつも綺麗に着飾って、お母さんっていう雰囲気などまったくしない女性だ。





「お義母様」




うっすら笑顔を浮かべて話しかける。






義母は立ち止まって、俺の手に持っている旅行カバンに目を落とした。






その目は怒りに燃えていることに気付くけど、今更もう遅い。








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