君が、あの夏だった。
彼女はメイクでバサバサした睫毛をカッとあげて俺を見上げる。
「私は認めていませんから!こんな大事なときに、田舎に行きたいなど無責任なこと、認めることなどできるものですか!!」
はぁ、と心の中でため息をつく。
この話は今週で7回目だ。
俺の顔を見るたびに認めてません、認めてませんの連続。
何も答えずにただにこにこ笑う俺をみて、彼女はムッとした顔をする。
「聞いてますの?認めてません、って言ってるの!あんたはこれからとても大事なときなんだから、田舎などに行っている暇などないでしょう!」
あんた。