君が、あの夏だった。
彼女は絶対に俺の名前を呼ばない。
あの日から。
1回も。
ずっと、あんた呼ばわり。
今だにキーキー叫んでいる義母の後ろから、びしっとスーツを着た父が出てきた。
心なしかその顔が少し疲れている気がするが、気にしている暇はない。
「おぉ、優か。準備はできたか」
父の登場に義母は不満そうに口を閉じてヒールを鳴らしながら階段を下りていった。
「はい、できました」
「そうか」
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