君が、あの夏だった。
まるで誰も住んでいないようなその部屋に入るたびに、背筋がピンと伸びてリラックスできない。
はぁ、と重いため息をついて今閉めたばかりの旅行カバンをガラガラっとドアのほうへと転がした。
うっすらと開いたドアから廊下の置くの部屋の声が聞こえてくる。
「...だからあなたは甘いのよ!」
「いいじゃないか、一回...」
「こんな大事なときに...」
「お前は...」
「...もういいわ、あなたとは...」