歌姫の秘密
⁂第一節⁂
「………______♪」
あ……まただ。
この学校に入学してから毎日
放課後だけに聴こえるこの歌声。
いつも決まった時間に
何処からともなく聴こえるこの歌声は
綺麗なことこのうえ無いのだが……
『誰が歌っているのか分からない』
『歌っている場所が分からない』
分からないことだらけだから
みんなは"歌姫"って呼んでいる。
まぁ
そんなに興味があるわけじゃないけど
謎に包まれているもの程
解明したくなってしまう私はこうやって毎日校内を歩き回っているんだけど
一回も"歌姫"に会ったことがない。
……おば…けなんかじゃないよね。
あたしももう入学して半年はたってるし分からない場所なんか無いはず…
確か"歌姫"は今年から聴こえてきたらしい。だから同じ学年にいると思うんだけどなぁ…
「はぁ…今日はもう帰るか。」
もう6時だし、もうすぐ"歌姫"の歌も聴こえなくなる頃だし…
とりあえずカバンとりたいし教室にもどろう。
「……あ…な……〜♪」
えっ!?この歌……"歌姫"がいつも歌ってる歌だ…!!
よく聴くとなんとなく…上?
帰っちゃうまえに確認しなきゃ!!
私は急いで階段を駆け上がった。