僕の気持ち 私の気持ち SS
愁は、未だ至って真剣な表情で、たった一枚のはがきに自分の中で史上最強に綺麗だと思われる文字で一生懸命に宛名を書いている。
「どうして当たるなんて強気なの?」
根拠のない自信に満ち溢れている愁へ、私は訊いてみた。
「めぐ。そんなのは、当たり前なんだ」
「当たり前?」
「そっ」
愁は、相変わらずよく解からない自信のみなぎった顔で頷いている。
「俺は、一度。スゲー確率で。スゲーものを手に入れてんだぜ」
「えっ? なになに? 凄いものって何?」
私は興味津々で、愁がいったいどんな凄い物を手に入れたことがあるのか気になってしまう。
なのに、愁のやつったら。
「ひみつぅー」
だって。
唇を尖らせてなんとも小憎らしい言い方をされたけれど、それがちょっと可愛いと感じてしまったことが悔しい。
「拗ねるなよ。めぐ」
「だって、何が当たったのか知りたいっ」
「よし。じゃあ、一ヵ月後。当選発表でグアムがハズレてたら教えてやるよ」
「うっわー。すごい自信」
「まぁね」
はーずれろっ。
はーずれろっ。
あっ、でも、ハズレたら二人でグアムがぁ~。
う~ん……。
グーアム。
グーアム。