僕の気持ち 私の気持ち SS


~ 一ヵ月後 ~

一冊の雑誌を前に、私たち二人は固唾を飲んでいた。

「じゃあ、当選ページ。開くぞっ」
「う、うん」

愁は、緊張した面持ちでゆっくりとページを捲っていく。
私は、愁がページを捲るたびに緊張が増していき鼓動が早くなっていった。

ごくりと生唾を飲み込み、とうとう辿りついた当選発表のページに二人で見入る。

【 A賞 グアムペア旅行 】

そう書かれた欄を、何度も何度も見た。

「……ねぇ、愁。当選者、鈴木啓二さんになってるよ」
「おかしぃなぁ。鈴木啓二じゃなくて、佐伯愁になってるはずなんだけど」
「いやいや。どう見ても、鈴木啓二さんだから」

何度見返しても、青森の鈴木啓二さんだ。

極寒の地から、暖かなグアムへと鈴木さんはひとっ飛びなのね。
ああ、羨ましい。

結果は見えていたけれど、ほんのちょっと期待していた私は愁の顔を見て肩を落とす。


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