僕の気持ち 私の気持ち SS
ずぶぬれ
―――― ずぶぬれ ――――
亮太 (りょうた) 奈々 (なな)
さっきまであんなに晴れていたのに、外はもの凄い土砂降りになっていた。
スコールってやつ?
亮太、大丈夫かなぁ。
少し前に、もう直ぐ着くってメールが来たけど、この雨じゃ傘も役にたたなそう。
窓の外に激しく降りしきる雨を眺め、私は窓辺で頬杖をついていた。
この雨から逃げるように、亮太はきっと急いでやってくるに違いない。
冷たい雨に体が冷えているかもしれないし、あったかいコーヒーでも用意してあげようかな。
キッチンで鼻歌交じりにコーヒーの準備をしていると、程なくしてインターホンが鳴った。
きっと亮太だ。
パタパタと走りドアスコープを覗くと、雨にやられた亮太が立っているのが見えた。
「うわっ……」
案の定、ドアを開ければ上から下までずぶ濡れだった。
水も滴る、いい男?
「なな、タオル」
少しだけ不機嫌そうにしているのは、お気に入りのスニーカーが水浸しになってしまったせいかも知れない。
「ちょっと待ってて」