僕の気持ち 私の気持ち SS


だけど、泣くなんて可笑しいじゃない?
呼び出しておいて何も言わなくて、しまいには泣くなんて、そんな子呆れちゃうよね。
嫌われちゃうよね。

伝えられなくても、言葉にならなくても。
これ以上、奏ちゃんを困らせちゃダメだよね。

私は唇をキュッと結び、涙を堪える。

そんな私の目の前では、奏ちゃんが頭の後ろに組んでた腕を下ろして深く息を吸い吐き出した。

「じゃあ。今度は、俺の時間ね」

え……?

こぼれそうな涙の滲む瞳で奏ちゃんを見ると、少しイタズラな笑みを浮かべていた。

奏ちゃんの時間て、なに?

よく解らないままでいたら。

「麗っ。俺と付き合ってください」

へ?

えっ?

えぇーー!?

「返事は?」
「は、はいっ」

私の返事に奏ちゃんが、ニコニコ。
そんな奏ちゃんの顔を見たら、言葉がスルッと飛び出した。

「わ、私、奏ちゃんの事が好きっ」
「うん。俺も」

やっと言えた私を、奏ちゃんがぎゅっと抱き寄せた――――。









  おしまい





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