月光の降る世界へ
◇序章
「総兄――――!! 遊ぼっ!!」
壬生寺の境内で、駆け回る小さな子供。
「はい、いいですよ」
早く早く、と僕の手を引っ張っていく小さな手の平。
柔らかな日差しの中――――
境内にはこの少年、誠太郎【セイタロウ】の声が響き渡る。
親に捨てられ、京の親戚に預けられた誠太郎。
出逢ったのは1年前。
誠太郎が9歳の時だった。
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