月光の降る世界へ


はい、と僕に手渡してきたそれは・・・・・・


「誠太郎、よくやりました!!」


あの、“豊玉発句集”だった。


よしよしと、頭を撫でると少し嬉しそうにしている。



「そうだ、これを書いた人は面白いものを書いているんだよ」



例えば・・・・・・と僕は紙をめくる。


『春の草 五色までは 覚えけり』



「・・・・・・なんなのこれ?」


「これはね、豊玉さんっていう人が書いた俳句なんだよ」





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