月光の降る世界へ


「・・・そうですけど」



――――不逞浪士が襲ってきても、何もできない。


でも、ここは不逞浪士があまり出ないことで有名なのに。


しかも、僕がここに来ることを知っていたような口振りだ。



「こいつは、刀を持ってない!かかれ――――っ」


「丸腰相手に、よくやれますね」



とっさに履いていた草履を、浪士の顔に投げつける。


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