月光の降る世界へ
部屋の外から、叫び声が聞こえる。
まだ薄暗い明け方、たぶん起きている人はそういない。
「そうじぃぃっっ!! 何回言えばてめぇは理解すんだ!?
“あれ”を早く返せっ!!」
パンッと、襖を豪快に開け、怒鳴り込んでくる人影。
「土方さん・・・・・・いや“豊玉”さん。 朝からうるさいですよ」
そう、うるさいといえばこの土方さんしかいない。
手に持った、一冊の紙束をひらひらと振る。
メニュー