月光の降る世界へ


桜の木の根元に腰を下ろす。


どこかで、トントンと鞠をつく音が聞こえる。


その方向を見てみると、一人の少年が立っていた。


いつもは、この時間帯に人はいないはずなのに――――



「誠太郎、一人ですか?」



笑顔で聞いてみる。


僕は作り笑いの時もあるけど、子供の前では素の笑顔だ。


子供、好きだからね。


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