月光の降る世界へ


そこには――――


背中から血を流す、息も絶え絶えの誠太郎の姿があった。


着物には、血と雨と泥が付いている。


走ってきたのだろうか・・・この状態で。



「誠太郎!? 何があったんですか!?」


永倉さんに抱きかかえられた誠太郎は、薄っすらと目を開ける。



「・・・総兄?」


「何があったんですか!?」


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