月光の降る世界へ


掴んでいたのは、誠太郎の小さな小さな手。


血がベットリと付いている。



「殺しちゃうの?」


「――――はい」



不思議なことに、誠太郎の目に怯えは無かった。


悲しみも、憎しみも・・・


ただ、綺麗なビー玉みたいに澄んでいた。


僕達を危険に晒して、誠太郎を傷つけて・・・





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