月光の降る世界へ


でも、その動作で背中に激痛が走ったのだろう。


ビクッと体を揺らし、痛みに顔を顰める。


でも、誠太郎は泣きも、喚きもしなかった。


痛い、とも言わなかった。


ただ・・・痛みに顔を歪めるだけ。



「総兄、父さんは・・・?」



痛みを我慢しながら、誠太郎が気にしていたのは父親のこと。


この子の心は、澄んでいるのだろう。
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