蒼碧
そして、薄暗い廊下の扉を開いて、私は自分の部屋へと向かった。


部屋の電気をつけて、小さな仏壇の前に腰を下ろした。



「お母さま…今日はお兄様が帰ってきてくださいました。

とても…幸せです…」



手を合わせて、ゆらゆらと揺れる線香を見つめながら


『感謝しなさいよ!あのことをお兄様に言わないであげただけでも』


お姉さまの言葉を思い出して



「……お母さま、私…」



何も言葉にできないまま、安芸は涙を流したのだった。
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