蒼碧

――…



「お母さま」



安芸の日課は、起きてから一番最初に、小さな仏壇の中にいる母に挨拶をすることだった。


何を話すこともなく、ただ静かにお線香の匂いを漂わせながら手を合わせる。


それは、ひどく心が落ち着く。



昨日も


父に言われるがまま、男性に抱かれた。


初めてこの行為をされたときは、悲鳴を上げて、逃げ惑った。


いつも優しく私に話しかけてくださるおじ様だったから。


気持ち悪かった。


気持ち悪くてたまらなかった。
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