蒼碧

――…



「安芸、行きなさい」


「はい」



お姉様に、乱暴をされたしばらくは、お父様の計らいなのか、しばらく何も言われることもなく日々を過ごした。


けれど3日も経つと、また以前のような日常が始まるのだと、ため息を零した。



「…蔵宇都」



私の運転手には、珍しく蔵宇都が乗っていた。



「めずらしいのね。お姉様は?」


「………」



何も言わずに頭を下げる蔵宇都に、小さく会釈して深く座り込んだ。
< 41 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop