蒼碧
総さんは、あたたかくて大きな手で私の両手を握ってくださった。



「私は、あなたとこうして時間を過ごしたいのです」


「………」



優しくかけられる言葉と微笑みに、


なぜかわからないまま、頷いていた。



「週に一度は、こうして会いましょう」


「………」


「いいですね?」


「はい…」



総さんに導かれるかのように、返事をしていた。


そして、優しく抱きしめられた。


優しく包まれる匂いは、いつも感じる下賎な匂いではなくて


心まで暖かくなるような気がして、自然に体を預けていた。
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