蒼碧
なのに



「お嬢様」



蔵宇都は、私を見つけると優しく微笑んだ。


その顔で、その瞳で、あなたは…


そこまで考えて、安芸はグッとこみ上げてくる何かを飲み込んだ。


私が何も返事をしないことに、蔵宇都は眉を顰めて「どこか具合でも」と心配そうに寄り添う。



「大丈夫よ」



何もなかったかのように笑って、車に乗り込んだ。


乗り込んだ先には、大きくも小さくもない包みがあった。



「これは、なに…?」



運転席に乗り込んだ蔵宇都は、私の方に振り向いて小さく笑った。
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