蒼碧
安芸の言葉に総は、一瞬だけ目をやってから微かに微笑んだ。



「おひさまって、最初に会った時も言っていましたね。……どうして?」


「あ……」



安芸は、一瞬視線を落として



「私は…神など信じていません」



目の前の豪華な料理に視線を合わせたまま話し始めた。



「……でも、辛いことがあった時、いつもおひさまの光が私を慰めてくださいました。夜は、月の光に変わって…私の涙を見届けてくださいました。神、だなんてものはないと、思っています。でも…もし、いらっしゃるとしたのなら…おひさまのように、あたたかく包み込んでくださるのだと……私は思っていたのです」



安芸の言葉に総は、グッと言葉を呑み込んだ。



「……だから、です」


「僕が、そのおひさま?」


「はい…」



総は、恥ずかしそうに頬を染めて頷く安芸を見て、胸が痛い程にドクン、と高鳴るのを感じていた。
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