蒼碧
「はい。毎朝お線香をあげて、月命日にはお花を飾って……私の役目です」


「………」



こんなにも悲しい話をしているはずなのに、儚げに微笑む目の前の少女を無性に抱き締めたいと思った。


総は、拳を握りしめて



「安芸さん、……あなたを幸せにしたい」


「………」


「もっと、もっと……私の手で幸せにしたいのです」


「……それは、無理なお話です」


「無理ではありません。必ず…」


「父が、反対します」



安芸の言葉に総は薄ら笑いを浮かべた。


あんな低脳親父、叩けばいくらでも埃が出てくる。



「大丈夫です。必ず、私があなたを幸せにしてみせます」



彼の熱く真っ直ぐな揺るぎない瞳に、全てに…身を委ねてしまいたいと少し手も思ってしまった。


でも……


そんなことは、望んではいけなかったのに。
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