蒼碧
安芸は、一瞬だけ車内を見やってから静かに瞳を閉じた。


お父様やお姉様のことだ、この車にも盗聴器を仕掛けていることだろう。


私には逃げ道なんて一つもない。


でも……総さんに会える。


なにも縛られることのない、唯一の時間。


それをひどく幸せに思うのだった。
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