蒼碧
お嬢様を見送ってから、駐車場に車を止めて待っていると


後部座席の扉が開いたかと思うと、乗り込んでくる人が見えた。


その姿にため息を吐いて



「……なんでしょうか」


「もう、駄目じゃない蔵宇都。安芸の見送りなんてしてちゃ」



どうやってここまで来たのか、なんてことはどうでもいい。


さっきまで安芸お嬢様が座っていた場所に、雅お嬢様が座っていることが酷く腹立たしく感じられた。



「家まで送ります」


「いやよ、ここで私を抱きなさい」


「………」



なんという無謀なことを言い始めるのかと思えば



「お嬢様、」


「早くしなさいよ」



ギラギラと燃える炎のような瞳は、安芸お嬢様に嫉妬している時。


一旦、ため息を零してこう言った。
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