蒼碧
「ならば、そのお母様の墓前も一緒に、」


「できません」


「………」


「そのようなことをしては、総さんの名前に傷がつきます」


「……安芸さん」



心の中では、安芸、安芸……と何度も呼ぶ。


安芸を、なんとしても手に入れて抱き締めてあげたい。


自分の手で幸せにしてやりたい。


それだけが、総の心を取り巻いていた。



「……ならば、一度明るい時間にお食事をしましょう」


「…それも、無理です」


「なぜです」


「父が用事がない限り外には出してくれません」


「迎えをやります。家を出てさえくれれば、」


「無理なんです」


「……なぜ」



一瞬の沈黙のうち、安芸はため息を一つ零して



「監視されているからです」


「………」


「だから、」


「安芸…」



総はたまらなくなって、席を立った。
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