蒼碧
「安芸」
そのまま立ち去ろうとする私の腕を総さんが、優しく掴んだ。
「総さん……」
「足から血が出てる」
「………」
「それに、手も酷い」
「………」
「これじゃあ、帰せない理由が出来てしまった」
「……え…?」
ゆっくりと顔を上げると総さんは、月明かりの下、優しく微笑んでいて。
月しか出ていないはずなのに。
おひさまが見えるくらいに、暖かく感じた。
「総さん…」
「あなたを連れて行ってもいいでしょうか」
「………」
「連れ去って、幸せにしたい」
「………」
「安芸」
総さんが呼ぶ、私の名は。
酷く胸が痺れる。
そのまま立ち去ろうとする私の腕を総さんが、優しく掴んだ。
「総さん……」
「足から血が出てる」
「………」
「それに、手も酷い」
「………」
「これじゃあ、帰せない理由が出来てしまった」
「……え…?」
ゆっくりと顔を上げると総さんは、月明かりの下、優しく微笑んでいて。
月しか出ていないはずなのに。
おひさまが見えるくらいに、暖かく感じた。
「総さん…」
「あなたを連れて行ってもいいでしょうか」
「………」
「連れ去って、幸せにしたい」
「………」
「安芸」
総さんが呼ぶ、私の名は。
酷く胸が痺れる。