蒼碧
--…
「なんだとっ!?」
「申し訳ございません」
「安芸がいなくなるなどありえないだろう、辺りは探したのか」
「はい…」
「蔵宇都、お前まさか、かくまっているとかではないだろうな」
「いえ…」
「やだ、お父様。私の大切な蔵宇都を疑わないでよ」
「雅…、とにかく探せ」
「はい」
部屋を出ると、雅お嬢様はふふふ、とおもしろそうに笑った。
「あの子、どこに行ったのかしら」
「………」
「ねぇ、蔵宇都?」
「………」
「……やだ、蔵宇都ったら、恐い顔」
笑いながら、俺を見てくる雅お嬢様など目に入ってこなかった。