蒼碧
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それから、数日後。
「どういうことだ。これだけ探しても見つからないなんて」
遙お兄様が帰って来たことに、雅は心の中で舌打ちをした。
遙お兄様は勘がいい。
安芸のことになるとなおのこと。
まさか、お父様がお兄様にこのことを話すなんて思いもしなかった。
「……お父様がいけないんじゃないの?」
周りの視線が自分に向いた。
「年頃の女の子にあんなことさせるから」
「雅っ!!」
まさか私が言うなんて思いもしなかったのだろう。
お父様が感情をむき出しに怒っている。
なんだか、お腹の底から笑いが込み上げてきた。