なつみかん
「暑いんだけどぉ。これだから夏はっ」
歩き出しながらも気分は乗らず、ぶーたれます。
「これ以上遅くには出れないだろ」
「ナシっていう選択肢はないワケ⁉」
「……」
流されました。
愛想がちっともありません。
「夏樹くんと蜜樹くんって似てないよね」
雰囲気とか。
無愛想なところとか。
「よく言われる。
蜜樹くんはオシャレで栗色の髪がステキなのに、弟クン髪ないしーって。
ハゲじゃねぇっつーの」
不貞腐れたように口の先を尖らせました。
そんな風に拗ねてるなんて、やっぱり子どもですね。
思わずくすりと小さく笑いました。